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ブログ 2019.7.5 現役の学校教師主催の「未来教育ナイト」で大日向小学校の取組みを紹介しました

未来の教育デザインに関心のある人たちがパートナーシップを組んでいくことを目的として、学校の先生方が主催して開催されている「未来教育ナイト
東京・中野区の新渡戸文化学園で開催された今回は、今年4月に長野県・佐久穂町に開校した大日向小学校で実践してされている「イエナプラン教育」がテーマ。昨年に続きUDSの中川が、主催の先生方のお声がけによりイベントに登壇させていただきました。

UDSは大日向小学校の校舎改修の企画・設計と食堂運営を手がけています。
日本でのイエナプラン教育の第一人者である中川綾さんと共に、大日向小学校のデザイン面からのポイントと、開校してからの日々の様子を実例としてご紹介しました。

大日向小学校開校の様子はこちらから

日本ではじめて、認定スクールが開校した「イエナプラン」とは?

まずは、日本イエナプラン教育協会・中川綾さんからイエナプランを紹介

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イエナプランには20の原則(=こちらからご覧いただけます)があり、
「これでなければいけない」ということではなく、「なぜこれをやるのか」が大事にされています。
20の原則のうち・・・
1~5番 人間について
6~10番 社会について
11~20番 学校について
が書かれていて、この原則に基づいて教育が行われます。ただし、イエナプランは教育メソッドではなく、あくまでコンセプト。どこか一つの団体のもの、というわけではなく共感した人が自由に採用していけることを大切にしています。

続いて、つい先日に大日向小学校で開催された運動会を動画と共に紹介します。廃校になってから5年経ち、地域の運動会も無くなっていたことから「地域の運動会」として開催した大日向小の運動会。種目も、地域の皆さんが子ども達と一緒に楽しく参加できるように工夫されていました。

イエナプランを実践する大日向小学校のデザイン

続いて、UDS中川より大日向小学校をデザイン面から紹介していきます。

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中川は「キッザニア東京」や「コサイエ」、「練馬区立こどもの森」など、教育を軸としたプロジェクトに数多く携わってた経緯があります。そんな中川がイエナプランに深く興味を持ったのは6年前。イエナプランの本場であるオランダへ5回以上渡航し、教員合宿にも参加し、現地在住でイエナプランの第一人者であるリヒテルズ直子さんから直々に学び、イエナプランへの理解を深めてきました。

イエナプランの日本初の認定スクールとなる大日向小学校の空間づくり、デザイン面での特徴を写真と共に紹介します。

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「イエナプランで印象的だったのは、廊下と教室の境がなく職員室がオープンなこと。それまで一般の学校で一番疑問に思っていたのが、黒板があるのはなぜ?ということだったんです。そこで『黒板は無くして、先生たちがデザインする』という方針で空間を変えることができました。

企画設計で大切にしたことは、
・つながり、地域の人が入りやすい
・アイデンティティーを表現
・デザイナーが決めるのではなく、先生や子どもが考える余白を残す。

開校してから行ってみると、各教室に思い思いのものが貼ってあったり、期待していた以上に自由に使ってもらっています。」

続いて、UDSが運営している大日向小学校の給食「大日向食堂」の様子も紹介。

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「ここでは、「まちのみんなとつくる"学校ごはん"」をコンセプトに、みんなで一斉に食べるのではなく、自分たちで食べたいタイミングで自ら配膳します。
一番の特徴は、まちの人たちも一緒に食べるということ。

始まったばかりだが、中川綾さんが言っていたようにイエナプランというのはあくまでコンセプト。それを日々の運営に落とし込み、企画の時に思い描いていたことが実践できるように、給食の部分でも進化させていきたい。」

教師、民間の壁を超えてディスカッション

会場に集まったのは、学校の先生をはじめ、民間企業にお勤めの方も含め30名ほどのみなさん。参加者からの質問に答えます。

Q. UDS中川さんは、民間企業の経営者でありながら、なぜイエナプランにそこまで深く興味を持ち携わろうと思ったのでしょうか?
「経営したいスタイルにぴったりだったので、イエナプランに興味を持ちました。
サークル対話、フラットな関係性を作ることなどは、UDSでもよくやっています。
教えるのではなく、問いをつくる。受け身ではなく、自分で考える。

人材開発を突き詰めたら、イエナプランにたどり着いたという感じです。」
と、教育のコンセプトをビジネスの場に生かしてきたエピソードをお伝えしました。

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最後に、主催者の一人である新渡戸文化学園の生物教諭・山藤先生から大日向小学校の事例を聞いた感想を語っていただきました。
「環境は働き方やマインドセットを変えるということを改めて感じました!皆さんの教育現場や職場でも、ちょっとずつでいいから、環境を変えることが大事ですね。」

未来教育ナイトに参加させていただいたのは昨年に続き2回目。現場の先生のリアルな声やご意見も伺いながら、業界にとらわれずにフラットに教育について考え交流できるとても貴重な機会となりました。主催の先生方、そして参加者の皆様ありがとうございました。