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ブログ 2019.7.25 【おもして薩摩vol.6】2019年、新たなフューチャーセンタープログラムが始動しました!

こんにちは!鹿児島県薩摩川内市の田尾です。
6月に霧島で開催されたプレゼンイベント「PechaKucha Night」でプレゼンターとして登壇させていただきました。立ち見が出るほどの盛況っぷりに、久しぶりに緊張しました・・・

さて、今回は先日キックオフを行った2019年度のフューチャーセンタープログラムについてご紹介していきます!

5年目を迎えるフューチャーセンタープログラム

薩摩川内市スマートハウスでは、開業当初から農業や子育て、住まい、観光などのテーマを設け、市民の皆さんと共に理想の暮らしやまちの課題解決に向けた対話を行う「フューチャーセンタープログラム」を実施してきました。このプログラムをきっかけに、河川敷を活用した地産地消イベント「リバーフロントマルシェ」や市内の遊休資源を使⽤した「⽵バッグ」の開発など、まちの課題解決や魅力の創出に繋がるアクションを実践、継続してきました。

これまでの取り組みはこちら

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若者たちが働きたくなるまちを目指して

そして、今年スタートするフューチャーセンタープログラムのテーマは「地域産業とICT・AIの未来」です。

これまでは毎年違うテーマで開催してきましたが、今回は3年間という期間を設け、課題解決に向けた対話だけでなく、実践的な学びや体験、最終的には起業や新規事業の開発を目指し、大きく3段階に分けてプログラムを行っていきます。

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今年は例年以上に気合を入れ、本気で自分たちで職を生み出し食べていける地域産業の土台をつくり、子ども達が将来「薩摩川内で働きたい!」「東京もいいけど地元で働くほうが面白い!」と言えるよう、この薩摩川内市にイノベーションを起こしていきたいと思っています。

ICTやAIは地域産業の強い味方になる

そして先日、薩摩川内市の産業を担う商工会議所、商工会、青年会議所をはじめ、30-40代の経営者が一堂に会し、新フューチャーセンタープログラムのキックオフが開催されました。

記念すべき第1回目のプログラムでは、スマートシティ先進地の会津若松より会津⼤学 客員准教授 藤井靖史さんをゲストサポーターにお招きし、ICTを取り入れたまちづくりの事例を中心にお話いただきました。

藤井さんの所属する会津大学は、今年3月薩摩川内市で「スマートなまち」をテーマに開催されたトークイベントに登壇されたアクセンチュア福島イノベーションセンター センター長中村彰二朗さんや会津若松市とタッグを組み、産官学連携の地域復興計画に取り組んでます。

中村氏のトークイベントの様子はこちら

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はじめに「ICT」や「IT」のイメージを参加者の皆さんに聞いてみると・・・

「難しくてあまり関心を持ったことがない」
「何か設備などを高いお金で買わなければいけない」
「自分とは縁のない話」

等々、僕と同じように身構えたり、難しく捉えている方が多くいました。しかし、講演後はICTを学び、まちづくりに取り入れることで薩摩川内にも何かイノベーションを起こせるのでは⁉という可能性を感じることができました。

そんな藤井さんから伺ったお話の一部をご紹介します。

まちの商店こそデータ解析が必要

東日本大震災後、復興のシンボルとしてスーパーが開店しました。赤字からのスタートでしたが徐々に住民も戻りはじめ、まち唯一のスーパーとして売り上げも伸び黒字へと転換。しかし、新たにコンビニができると売上が4割減少する事態になりました。そこで登場するのがデータ解析です。スーパーの売り上げデータを解析すると、コンビニと競合している商品がいくつかある事が分かり、競合しない商品に注力する戦略に切り替えたことでコンビニとのガチンコ勝負を避けることができました。また、その売り上げデータを地元の高校に開放し、商品の仕入れ発注業務を高校生に委託しました。すると、店舗側は高校生のニーズを知り、高校生は自分たちも地域の一員であるという自覚が生まれてきます。地域の商店だからこそデータ解析を用いた戦略で、大手企業とも互角に競える時代になってきたのです

ITでいかに現場の負担を減らせるか

現在、小中学校でもICTを活用する地域が増えてきています。生徒のテスト結果をデータ化し、解析することで子ども達の間違えやすい箇所などをデータから発見することで、先生はその箇所を集中的にフォローできるようになります。今後、地方の小中学校にICTが普及し動画教材や教育データが蓄積されると、都会よりも生徒数が少ない地方の方が、手厚くフォローできるので都心部と地方の教育格差がなくなっていくのではないかと思います。教育でも農業でも現場にITの導入を検討する際は、いかに負担を軽くできるか?を考える事が大切です。限られた時間の中で減らすべきものと時間をかけるべきもの、ITを取り入れる事で見直すきっかけになると思います

住民は共同クリエイター

これまでの活動を外部の方にお話すると「それ、スマートシティ2.0ですよね」と言われるようになりました。自分ではあまり意識していませんでしたが、結果全て“まち”や“暮らし”に繋がっていたということになります。スマートシティに付く1.0や2.0という数字は、これまでの従来型か、これまでとは違った新しい取り組みかの違いです。1.0の従来型では「技術・経済」に焦点が当てられ住民はあくまで「消費者」という役割でしたが、2.0では「行政・施策運営」といった人に焦点があてられるようになり、住民は「共同クリエイター」という役割に変わってきています。行政からのトップダウンではなく、行政の持つデータを住民に開示しそこから共に課題を考え、解決策を協議することがスマートシティ2.0の考え方と言えるかもしれません。

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スマートハウスでのキックオフミーティングの後は、居酒屋に場所を移し薩摩川内らしく焼酎を交えながら今後の展望を語り合いました。

「これまで市内の団体が集まり話しをする機会も無かった。今日、市役所の人も交え顔を合わせて話しをする機会が生まれたことがまず、大きな一歩になったと思う。」

「ITという言葉に苦手意識がありましたが、藤井さんのお話を聞いて団体の活動や仕事にも活かしていけるんじゃないか?とイメージが変わってきました。」

「これまで行政の一方的なやり方に疑問を持つこともあったが、今日こうやって一緒に話しをする事で、これからは共に考え行動していけるんじゃないかと嬉しくなった。」

「どの団体でも課題は人手不足。今後、若い世代をどう巻き込きこみ解決していくかを真剣に考えていきたい。」

藤井さんのお話を受け、全員が共同クリエイターという心意気で、商工会議所、商工会、青年会議所、さらには行政とも一体となって、これからの薩摩川内市の産業を盛り上げていこうと熱く団結した夜となりました。

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新たなスタートを切ったフューチャーセンタープログラム。次回は薩摩川内を飛び出し藤井さんの拠点でもあり、スマートシティ先進地でもある会津若松への視察を計画中です。このフューチャーセンタープログラムが横串の役割となり、市内だけでなく他の地域とも繋がり、新たな事業やプロジェクトが生まれる新しい薩摩川内市の風土を、参加者の皆さんや市役所の皆さんと共に創り上げていきたいと思います。