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ブログ 2019.9.20 香港・アブダビ・日本の商業デザインを語る「DESIGN TALK」でホテル×融合の事例を紹介しました

AIAJ(アメリカ建築家協会日本支部)の理事長も務めるCOMPATHの吉本が、今年より新設された香港のデザインアワードSky Design Awardの関連イベント「Design Talk」に登壇しました。
一緒に登壇したのは、香港のデザイン複合施設PMQのWilliam Toさん、ルーブル美術館アブダビのディレクターであるManuel Rabateさん。国籍もフィールドも異なる3人による、事例紹介とセッションが赤坂のRIVIERA TOKYOショールームにて行われました。

テーマは「AKINAI DESIGN」。商い(=商業)と、飽きない(=サステナブルな)という両面から、デザインの商業面と持続性に着目してトークが展開されました。

UDSのホテル×融合「INN-tegrate」

吉本は、UDSの宿泊事業において何かを掛け合わせる「融合」という切り口で、事例をお伝えします。

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UDSのビジネススタイルは、企画→設計→運営→企画・・・と3つの一見異なる部門が一緒になることで情報が行き来しています。よかったこと、改善することが、常に反映できるようになっていることで、次の企画へとつながります。今日は『Let’s inn-tegrate!』をテーマに、 UDSの宿泊事業(inn)とそこで取り組まれている特徴的な融合(integrate)の事例を紹介します。

ホテル カンラ 京都

ホテル×金継ぎ工房
ホテル併設のショップには金継ぎ職人に常駐してもらい、日本の伝統工芸である金継ぎを目の前で見ることができます。その他にも毎年KOUGEI NOWという工芸のイベントをホテルのロビーや客室を利用して開催し、職人さんや観光客はもちろん、地元の方にも多く足を運んでもらえる機会になっています。

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▲金継ぎ職人が常駐するホテルショップの工房。

HAMACHO HOTEL

ホテル×インレジデンス クラフトルーム
客室の1室であるTOKYO CRAFT ROOMでは国内外のデザイナーと日本各地の作り手とのコラボレーションによるアイテムで、客室が変化していくプロジェクトを展開しています。製作した作品は部屋のアイテムとなって、ゲストが実際に触り、感じ、滞在することができるようになっています。

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▲海外アーティストの作品が楽しめるTOKYO CRAFT ROOM

ONSEN RYOKAN 由縁 新宿

新宿×温泉×旅館
温泉旅館をテーマにしたホテル、ではなく「実際の温泉旅館を新宿に作ること」に挑戦。

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一見新宿のど真ん中に温泉旅館が突如現れたという感じの門構え。本物の温泉を最上階で楽しめ、美しい新宿の夜景が楽しめます。部屋にも旅館らしい工夫を凝らしているので、日本に住んでる感じで過ごしてほしい。

「ぜひ今後も、Integrate(融合)したUDSのホテルに注目してほしい。」と締めくくりました。

PMQ(香港)とルーブル美術館(アブダビ)のデザインと仕組み

続いて、2名のゲストからも香港とアブダビでの商業デザインについて事例紹介を行います。

PMQ / William Toさん

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PMQは、政府の土地で政府と一緒にコラボレーションして行なっている、若手クリエイターの育成を目的にした複合施設。非営利でサステナブルなビジネスモデルとするため、寄付金のほか、1・2Fは企業へレンタルしギャラリーを設けました。

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ミッションは、コミュニティを成長させ関わり、一緒に作っていくこと。若手デザイナーが海外へ展開する入口にもなっています。テストキッチンもあり、若手経営者がトライアルとしてレストランの経営をしテストマーケティングをすることもできる。2014年から1700万人が来場。観光スポットの1つにもなっており、これまでメディアがなくて作品をアピールする場所のなかった若手クリエイターにとって絶好の機会となっています。

ルーブル美術館アブダビ/ Manuel Rabateさん

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世界的に知られるルーブル美術館。新たにUAEとフランス両の国家プロジェクトとして誕生したのが、ルーブル美術館アブダビ。ロダンのアートと現代アメリカ建築家を組み合わせるなど、アートと建築が融合する形をとっていることが特徴です。
3,4か月ごとに新しい企画を実施して新鮮さを演出し、さらに見る側が事前に興味をもって入り込むことができるような企画を行なっています。美術館の外でも、アブダビとドバイを結ぶハイウェイ道路沿いに作品を展示して、観光客を美術館へと誘導する仕組みが好評です。

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会場からのQ&A

後半は、国内外から集まった観客の皆さんから数々の質問が。その一部をご紹介します。

Q. UDSとして、プロジェクトで重視している部分は?
A.プロジェクトをつくる時に、重視しているものが3つ。
まず「①デザイン性」、そして「②事業性」20年間は継続できるよう、サステナブルに収益を出すことも大事です。さらに「③社会的意義」を重視している。ここが大手のチェーンホテルさんとは違うところかなと思います。

今日紹介したプロジェクトでも、その土地のクラフトや職人とコラボレーションして地域を巻き込むなど、ホテルで完結ではなく地域と一緒に発展していこうとしていこうとしている。またそれぞれの場所で違うホテルをつくり上げているのは、その土地土地で必要なものを作ろうとしているからなんです。

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Qデザインの視点でビジネスのマーケットを見るとどんなことが言えるか?
A.デザインが良いだけだと、メディアなど取り上げられてもすぐに飽きられてしまう。商業的に長く続くだけでなく、仕組みを作って常に新鮮さを与えられるようにすることが大事
例えばTOKYO CRAFT ROOMは、それに挑戦している例です。常に変化があるように見せないと、特に東京や京都では生き残っていけない。デザインの力だけではなく、リニューアルしていく仕組みがあるといいと思っています。

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国が違うからこそ視点も広がり、セッション終了後もデザイン議論が盛り上がりました。Sky Design Awardの皆様、貴重な機会をありがとうございました。