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本のある場をデザインする- 2019年度グッドデザイン賞受賞展トーク

 

おかげさまで今年のグッドデザイン賞もUDSが手がけさせていただいたプロジェクトから、「ONSEN RYOKAN 由縁 新宿」、「HAMACHO HOTEL&APARTMENTS」、MUJI HOTEL GINZAが入る「無印良品 銀座」、「MUJI HOTEL BEIJING」、そして「神保町ブックセンター with Iwanami Books」が受賞をさせていただきました。そして、先日「2019年度グッドデザイン賞受賞展」のトークイベントに神保町ブックセンターの企画を担当した中川が登壇させていただきました。

今回登壇させていただいたのは、2019年度グッドデザイン賞受賞プロジェクトの中でも「本」をフィーチャーした施設の担当者によるトークショー。

まちの本屋さんがどんどん減ってきている中で、グッドデザイン賞では6-7年前から、本のあるスペースのデザインでの受賞がでてくるなど、本を媒介とするコミュニティデザインが増えてきています。トークでは「なぜ本なのか、これからの “本のある場所”のデザインについて」をテーマに、「本屋 文喫」 https://bunkitsu.jp/ の日本出版販売株式会社 有地和毅さん、「たこ文庫」https://takobunko.com/ のあかし市民図書館 田中梨枝子さんと一緒に、登壇しお話させていただきました。その様子を少しご紹介します。

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本を「読む」だけでなく「使ってみる」

日本出版販売さんとスマイルズさんの混成チームで立ち上げられた「本屋 文喫」は、”リアルな本屋には「本を買う」だけでない、別の機能が求められているはず”、として「本をいかに機能させるか」ということに着目して、様々な仕組みを取り入れられています。(グッドデザイン賞受賞ページはこちら )

 

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本については「読まなければならない」という思い込みがあると思いますが、読まなくても、気になる本を手に取るだけで自分の興味を可視化できたり、自分以外の誰かを介して本に出会うことで、本人さえ気づいていない興味や欲求に近づくことができます。「本屋 文喫」では本を「読む」だけでなく「使ってみる」ということをやっていきたいと思って取り組んでいます。- 日本出版販売株式会社 有地和毅さん

 

読書体験の共有

「たこ文庫」は誰でも楽しく読書経験を共有できる仕組みで、図書館がまちの交流の場として開かれることを目指したあかし市民図書館の取り組みです。具体的には16のカードから8つを選んでその8つのお題に合わせて本をピックアップして紹介するというものです。図書館にはたこ文庫の本棚があり、WEBでも展開されています。(グッドデザイン賞受賞ページはこちら )

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読書体験をシェアすることでその人が見えてきます。地域の人たちのたこ文庫をアーカイブしていったら、地域の一つの資料になっていくと思っています。この仕組みはどの地域でも自由に使っていただけるので、各地で、それぞれの地域の魅力が伝わるような仕組みでつくっていってもらったらいいですし、読書が話題の中心にあってそれがそれぞれのまちにひろがっていけばいいなと思っています。- あかし市民図書館 田中梨枝子さん

本を元気にしてまちを元気に

神保町ブックセンターは2018年、神保町の旧岩波ブックセンター跡地に開業した、岩波書店の書籍9000点を取り揃えた本屋と、カフェ、コワーキングの複合施設です。(グッドデザイン賞受賞ページはこちら )

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わたしたちUDSではまちづくりの視点で様々なプロジェクトを手がけさせてもらっていますが、神保町ブックセンターは「神保町のまち」が大きなキーワードです。神保町は本のまちなので、本を元気にしていかないとまちが元気になりません。本は文化教養のバロメーター。そして本屋は本との思わぬ出会いがあり、そのまちならではの歴史や文化や風土に出会える場所でもあります。そんな本のある場をどう収益化して存続してゆくかはとても重要な課題で、神保町ブックセンターでは本屋に喫茶、イベント、コワーキングスペースを複合させて収益モデルをつくって取り組んでいます。- UDS中川

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その後のクロストークでは、

”どれも本を紹介する場所だけれど、実際人に出会う場所でもあって、人の存在がすごく見えますね”
”80歳のおじいさんと学生さんがおなじ場所にいるって、本が介在しないとなかなかない”
”図書館は本だけではなくて、人を紹介するという機能もあるので、ぜひうまく連携させていきたい”

といった、「本」のある場所が、コミュニケーションの要になるという視点のお話も。

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最後には有地さんから「本を”使って”いきましょう」、田中さんからは「図書館は本の貸し借り以外にできることがありますので、ぜひ体験をしに兵庫県明石市に遊びに来てください」とのメッセージが。

中川からは「書店や出版を取り巻く経営環境は厳しさを増していますが、各出版社が持っているコンテンツは宝の山です。本の紹介をする場のあり方や、売り場の編集次第では、まだまだポテンシャルはあるんじゃないかなと思っています。本×何があったら面白くなるか、をみんなで考えていきましょう」とお話させていただきました。

 

UDSでは現在いくつかのプロジェクトで「本」を取り入れた場の企画が進んでいます。本のある暮らしがより充実したものになっていくような、本のある場のデザインに取り組んでいきます。

お招きいただいたグッドデザイン賞事務局のみなさま、ご一緒させていただいた有地さん、田中さん、そして当日ご参加いただきましたみなさま、貴重な機会をありがとうございました。